「立憲民主党」が世論調査で選ばれなかった理由

永田町で演じられるところの、
国民不在の政党の野合と離合集散には、
マスコミがどれほど宣伝しても、
あるいは市民の素振りをした左翼リベラル「野党共闘」の論理で応援しても、
それに積極的な関心を持つことはないのだ。

メモです。
http://critic20.exblog.jp/25411739/
野合が臭う「民進党」の名称 - 「立憲民主党」が世論調査で選ばれなかった理由
民主と維新が合流する新党の名前が、新しく民進党と決まった。「立憲民主党」と「民進党」の二つが候補として提案され、週末(3/12-13)に世論調査が行われた結果、「民進党」を選んだ票数が多く、この名称に決まったと説明されている。執行部や民主党内は、「立憲民主党」が選ばれるだろうと楽観していたため、この世論調査の結果に衝撃を受けているらしい。もともと、この二つの案に絞り込まれて決戦投票になる手前、先週行われた一次選考の党名公募では、1位が「民主党」、2位が「民主立憲党」、3位が「民新党」となっていて、まさか最終の世論調査で「民進党」が選ばれるとは予想してなかったのだ。われわれ一般の見方も同じだろう。私自身は、民主党側が最初から、すなわち昨年の合流協議の時点から、新しい党名は「立憲民主党」と内々に決めていて、その着地へ持ち込む演出を形式的にやっているように見えていた。朝日の記事では、「世論調査の結果からは、政権時代の負のイメージからの刷新を求める民意が浮かび上がる」と書いていて、国民や支持者が「民主党」という名前から離れたがっている意識の表れだと解釈している。昨夜(3/14)のNEWS23の岸井成格も同じコメントだった。私は、朝日の所論は粗雑で間違っていると考える。


違う。朝日や岸井成格の視点では、党名公募で「民主党」が第1位の得票だった事実を説明できない。理由は別にある。最終の世論調査で「民進党」が選ばれたのは、「民進党」と「立憲民主党」の二者択一だったからで、「立憲民主党」のネーミングが敬遠もしくは忌避されたという分析こそが正解だろう。自由に党名を挙げる選考形式であれば、「民主党」や「立憲民主党」が上位に来る。決して「民進党」は最多得票にはならない。だが、二者択一となったときは、「立憲民主党」には票が集まらないのである。それは何故かと言うと、「立憲民主党」の「立憲」の看板に心理的な躊躇を覚えるからだ。その抵抗の正体は、共産党・市民連合への過度の接近に対する警戒感であり、「立憲民主党」の党名にすると左寄りのイメージに傾きすぎ、本来の平衡感覚を失ってしまうという不安感である。つまり、イデオロギー的な動機だ。無論、立憲主義の思想にはそもそも左翼的な傾向や性格はないのだが、現時点で「立憲民主党」の党名を選んでしまうと、客観的にどうしても立ち位置を左に寄せた表象が浮き上がる。山口二郎や中野晃一の市民連合が、そして共産党が、立憲主義を前面に押し出して「野党共闘」の錦の御旗に掲げているからである。

現在、立憲主義は左翼リベラル勢力のコモンイデーになっていて、その政治的正統性をアピールするキーワードになっている。そして、反安倍の諸勢力を国民的に結集するメインのスローガンの位置にある。立憲主義の旗を掲げて安倍政治と対決する勢力の中心に共産党と市民連合があり、イデオロ-グとして中野晃一などのSEALDs学者がいる。客観的な政治配置を眺めると、立憲主義を担ぐ主軸は共産党寄りの「野党共闘」なのであり、野党のセンターに位置する民主党ではないのだ。ということは、民主党から立憲民主党に改名することは、左に一歩寄ることになり、左に寄った政党に生まれ変わったことを国民に提示する意味になる。民主党には、右から左まで幅広いイデオロギーを持った個性が参集していて、支持者が求める政策も多様で複雑だ。結党時からのコアの党支持者たちは、左右のバランスが党運営の核心と心得ていて、路線が左右に振れすぎることを用心する。そうした経験心理が、彼らをして「立憲民主党」のネーミングに足踏みさせたのではないか。「立憲民主党」に決まれば、両手を挙げて喜ぶのは共産党と市民連合だ。朝日と毎日と東京新聞だ。苦虫を噛みつぶすのは、読売と産経とNHKだ。バランス重視の動機が今回の問題の裏側にある。

左翼リベラルと朝日などの左系マスコミは、「野党共闘」の立場から、今回の「民進党」のネーミングに不興と困惑を覚えつつ、新党の門出を祝って応援する主張と論調になっている。心の中では、民進党などという珍名に不具合を感じながら、それを正直に口には出さず、内心の不快とは裏腹に、「決まったんだから前に進もう」と積極的に支持する姿勢に徹している。だが、朝日などの左系マスコミの解説と論評で抜け落ちているのは、民主党が20年間かけて築いてきたブランド・イクィティーを一瞬で失った問題への視線だ。今回の決定は、組織論の観点から注目したとき、どう考えても失策であり、政党組織を自滅に導く軽挙のマネジメントである。民主党という名称は、曲がりなりにも政治理念を体現していたし、米国の民主党という分かりやすいモデルも存在した。民進党という名前は、どこからそのアイディアが出来したか不明だが、台湾には存在するけれど、その党名がどのような理念を志向しているか誰も知らない。共通の認識や理解がない。言葉の定義もない。(結いの党と同じ)正体不明の怪しい党名だ。一方、民主党は二大政党制の定着をめざして20年間活動し、政権交代の実現という実績も残していた。日本の政治世界に確固たるステイタスとブランドを形成していた。

朝日などが言うように、一強多弱となった現在の民主党に負のイメージがあり、その名前に国民が興味を覚えないという現実は確かにあるだろう。けれども、他方、江田憲司の維新の党は、民主党とは比較にならないほど軽蔑の対象で、論外の存在である。こんな愚劣な集団と一緒になって、民進党などという面妖な党名に変更することが、民主党にとってどれほど大きな弊害と損失になることか。判断ミスは、維新と合流する条件として党名変更に合意したことだった。そのような冒険に出る必要はなく、民主党の名称のままで吸収合併するべきだった。マスコミの世論調査では、松野頼久の維新の党は、常に小数点以下の支持率しかない。実際には、コンマ以下と言うよりマイナス評価が与えられるほど、この政党は国民に不人気で興醒めの存在だ。右からも左からも嫌われ者で、期待されず、存在意義を認められていない。永田町の空間で生息する岡田克也と枝野幸男の視野狭窄が、この永田町の漂流難民を過大評価させてしまったのだろう。旧結いの党の面々は、政策的には自民党と完全互換であり、次に党を渡り歩くときは自民党に売り込む軽業師たちだ。この粗悪な連中を抱え込むために、苦労して築いてきた民主党のブランドを捨てるとは、一体、民主党幹部たちはどういう組織論の思考なのだろうか。

確実に断言できるのは、奇妙な党名に変えたことで、民主党(民進党)の組織の求心力と統合力が脆弱になったことだ。名前はシンボルそのものである。集団のシンボルが劣化したものに置き変われば、団結と期待と信頼を集める機能は衰えざるを得ない。民主党(民進党)は、これまで以上に弱体化し、分裂と瓦解に陥りやすい政党になった。民進党には蓄積がなく、継承するものがない。各議員にとって、民進党という名前には未練や愛着がない。こういう政党は、選挙で負けて打撃を受ければ簡単に内部崩壊してバラバラになってしまう。離合集散の運動に流されやすくなる。民進党と聞いて思い浮かべる顔は、俗物で無能な余所者の江田憲司だけだ。民主党と聞いて思い浮かべる顔は、蓮舫であり、長妻昭であり、枝野幸男であり、前原誠司であり、山井和則である。党の内部でも、有権者においても、そのイメージは同じだろう。これまで民主党関係者として人前で挨拶してきた者は、これからは「新しく生まれ変わった民進党です」という一言から口上を始め、名称を改変した意義を説明しないといけない。一苦労である。だが、「民進党」と聞いて人が思い浮かべるのは、あの軽薄で傲慢な、思い出すと気分が悪くなる江田憲司の顔なのだ。挨拶する方も、挨拶を聞く方も、憂鬱で不快な時間が流れるに違いない。

慣れ親しんだロゴまで変わる。今回の合流と改名は、参院選のために行われたのだけれど、世論調査の数字を見るかぎり、選挙にプラスになるとは到底思えない。選挙にはマイナスだ。単純に名称でイメージの優劣を言えば、民主党の方が民進党よりもずっと印象がよい。民進党という名称のイメージには、いかにも野合の臭いがプンプンする。選挙のために野合で合流したA党とB党が、理念も政策も一致しないため、党名に政治理念を掲げることができず、何か巧く世間を煙に巻く語はないかと頭を捻り、何も良案が出ないから、やむなく「民進党」という思いつきでその場凌ぎをしたという、そういう野合の剥き出しの本性が表出した名前だ。新進党に似ている。野合の目的は選挙だから、選挙で大敗すれば野合の意味はなくなり、すぐに騒動を始めて党を割る事態になる。国民はそのことを熟知し辟易しているから、合流新党に期待を寄せることはないのである。永田町で演じられるところの、国民不在の政党の野合と離合集散には、マスコミがどれほど宣伝しても、あるいは市民の素振りをした左翼リベラルが「野党共闘」の論理で応援しても、それに積極的な関心を持つことはないのだ。バッド・イメージの民進党の今後は、選挙に負けて四分五裂に解体するか、もう一度「民主党」に戻って再結集を図るか、そのどちらかだろう。

そのときは、右派と左派と二つに分裂して、二派が「民主党」の老舗の看板を奪い合うという将来図になるのではないか。

テーマ:今日の独り言 - ジャンル:写真

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