黒田東彦の誤断と失策が招いた円高と株安 - 裏目に出たマイナス金利

1/29に黒田東彦がマイナス金利導入を発表した直後、
1/29から2/1には1ドル120円の線だったから、
わずか10日の間に10円も円が急伸する異常事態となっている。
これほど急激な円高の進行は久しぶりだ

わずか10日の間に10円も円が急伸
日本国債はババを掴まされることのない安全な金融商品

利ざやを稼ぐことのできる企業は・・・・・・(笑)
メモ

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黒田東彦の誤断と失策が招いた円高と株安 - 裏目に出たマイナス金利
市場が怒濤の勢いで円高・株安の方向に流れている。東京の為替市場が休みだった昨日(2/11)、ロンドンでは一気に1ドル110円台まで進んだ。1/29に黒田東彦がマイナス金利導入を発表した直後、1/29から2/1には1ドル120円の線だったから、わずか10日の間に10円も円が急伸する異常事態となっている。これほど急激な円高の進行は久しぶりだ。円高に振れると、当然、東証の株価は下がる。マスコミの報道を聞いていると、世界経済のリスク要因が高まったため、安全資産である円に避難するマネーの流れが起き、そのために円高が起きていると抽象的な説明をしている。昨夜のNHKと報ステの報道では、イエレンが議会証言で何か言ったため、市場で円が買われたという歪曲した「解説」を加えていた。イエレンの映像を出し、円高をイエレンの所為だと決めつけている。イエレンは単に一般論を述べていただけだが、日本のマスコミ報道は言葉尻を捉えるような情報工作で、円高の原因について海外に濡れ衣を着せる報道を繰り返している。2/2からすぐに円高になり株価が下がったときも、その原因をドイツ銀行の信用不安に押しつけ、黒田東彦によるマイナス金利政策の失敗の結果だと言わなかった。

不思議なことに、日本のマスコミは、2月に入ってからの円高株安の動きと1/29の日銀のマイナス金利措置との間の因果関係に目を向けない。前者が後者の結果であり、後者が前者の直接の引き金となったことを言わず、口を噤み目を逸らしたまま、責任を他に転嫁している。ここでもう一度、1/29に発表された日銀のマイナス金利について、その狙いを復習しよう。何を目的としたものだったのか。政府の報道官僚であるNHKが国民に説明しているとおり、これは追加緩和の一手であり、新手の金融緩和の秘策だ。狙いは円安と株高への誘導であり、アベノミクスの信認を回復させるためのものだ。年初より、原油安の進行によって世界的に株安の基調となり、為替も円高に圧力がかかり、日銀に次のバズーカを撃てという声が投資家から上がっていた。金融市場を刺激するカンフル剤注入の要求である。折しも、甘利明の口利き収賄疑惑の事件が発生し、安倍政権の支持率を支えるサプライズとして、黒田東彦の新政策が決定され発動された。甘利明が辞任が1/28で、翌日の1/29にマイナス金利導入が発表されている。無論、指示を下したのは安倍晋三だ。

目論見が当たり、当日中に為替は1ドル120円に下がり、株価は翌週の2/1に1万8000円の線まで上昇した。政策金利をマイナスにするのは金融緩和の劇薬の処方である。日銀の当座預金に銀行が資金を入れておくと、手数料を取られて損を蒙るから、銀行は川下の市場へ資金供給を増やさざるを得ないと、そういうメカニズムを想定し企図したオペレーションだ。そしてこれは、通貨安競争の手段である。ゼロ金利を超えて、マイナス金利まで踏み込み、通貨を市場で安くして、国内的には企業に投資を促し、対外的には輸出を有利にしようとするものだ。日本経済の場合、円安にすればするほど、輸出企業に利益がもたらされて収支決算が改善されるため、円安政策は同時に株価対策にもなった。アベノミクスの政策体系のスパイラルとストラクチャーである。マイナス金利導入の措置が円安と株高を狙ったものであったこと、あらためて確認するまでもない。措置が発動されたとき、マスコミで副作用がいろいろ紹介されたが、狙いとは逆に円高と株安に振れるとは、専門家も誰も予想を言わなかった。わずか10日の出来事である。

明らかに、結果を見れば、日銀は間違った政策を選択して実行したことが分かる。現在、マスコミは、かくドラスティックな円高と株安の現象について、「世界経済のリスクの深化」という漠然とした犯人を設定し、「安定資産である円への避難」という言説で問題を解消している。黒田東彦の判断(ミス)は免責免罪されている。だが、少し考えれば分かるとおり、日銀が政策金利を下げれば、当然、それは長期金利の下げに直結する。連動する。政策金利が長期金利に影響を与えないなどあり得ない。長期金利とは、日本の場合、10年国債の利回りのことである。政策金利とは、昔の公定歩合のことだ。長期金利は2/9に初めてのマイナスとなり、大きなニュースとなった。この頃には円高と株安の流れが完全に定着していた。三日天下という言葉があるが、黒田東彦と安倍晋三の新手の金融政策の発動は、わずか三日しか効能が続かず、思惑とは正反対の円高株安の方向に雪崩を打って行ったのである。株価が下がることで年金(GPIF)の原資が溶けて消える深刻な問題もあるが、そこを焦点化して騒ぐ前に、日銀の意思決定が明確な判断ミスであり、奇策が経済全体に悪影響を及ぼす結果となった事実を正しく指摘し糾弾しなくてはいけない。

長期金利、すなわち10年ものの日本国債の利回りが下がるということは、日本国債の市場での価値が上がるということだ。国債は通貨と同じく今では金融商品であり、射幸性動機で動く市場の投機マネーは、利ざやを稼ぐべく、価値が上がる金融商品に飛びつき群がってゆく。2/9のテレビ報道で説明されていたとおり、満期まで待って回収すればマイナス金利のために損をするのだけれど、国債が市場で金融商品として額面より高く売れて利ざやが出るので、投機家は買って売って儲けようとして国債にラッシュする。この金融商品には他にない特別な性格があり、どれほど市場価額が騰がっても、それを必ず購入する公的なバイヤーがいるのである。それは日銀だ。現在、日銀の国債保有額は300兆円に達していて、発行残高全体の1000兆円の3割に及んでいる。それでもなお、日銀は追加緩和で毎月8-12兆円の国債を買うと公約していて、財務省が発行する毎月10兆円分を全額引き受ける規模で買い増し続けている。日本国債の価額が市場で高騰している理由の一つは、日銀が大口購入し続けているために、市場で出回る量が希少であるからだ。どれほど高騰しても、必ず最後は中央銀行の日銀が買う。

だから、ヘッジファンドにとっては、日本国債はババを掴まされることのない安全な金融商品なのであり、多く買い漁って保有するほどよく、高騰させて日銀に売りつければよいのである。マスコミの言う「比較的安全な資産である日本国債」というのは、実際にはそういう意味だ。リスク要因だらけの混沌とした世界の金融市場の中で、日本国債だけは高騰と高収益が確実な商品だからだ。この商品の性格は、アベノミクスという日本政府の政策によって基礎づけられていて、ひたすら金融緩和を延長拡大して円安株高をドライブしようとする安倍晋三と黒田東彦の権力意思によって担保されている。きわめて皮肉なことに、日銀が円安を狙って金利をいじればいじるほど、マネーは日本国債に向かい、日本国債を手に入れるべくドルを円に替えようとする。円を買う。市場で円が騰がる。騰がる円もまた金融商品だから、高騰させた後に売ってドルに替えれば儲かるのであり、世界のマネーは円にポジションをセットしてラッシュする。こうして、日銀の意図とは裏腹に円高が進行する。市場を動かしている根本は日本国債の投機的魅力であり、動きの起点は、その射幸商品性を決定づけた日銀のマイナス金利措置の発動だ。円高と株安は、黒田東彦と安倍晋三の政策ミスで惹起されたものである。

そしてまた、アベノミクスの構造的な宿命によってもたらされた破綻だ。アベノミクスの原理は、ひたすら金融緩和で市場に円を供給し、円安と株高のスパイラルを作り続けるものだった。金融緩和のオペレーションしか選択がなく、他に論理的余地がない。そもそも、国債を日銀が大量に買い入れる禁じ手に踏み切ったのは、政府の財政を支えるためでもあった(第二の矢)。今回のマイナス金利は、財務省の意向に沿ったもので、歳出における国債費(利払い)を小さくする金融工作が重要な狙いでもある。一部のテレビ報道では、今回のマイナス金利導入は、地方の中小銀行から富を奪い取って、それを政府会計に移転する詐術だと解説されていたが、正鵠を射た認識と議論と言えるだろう。財務官僚の姑息な利己主義の術策が、裏目に出て、アベノミクスが最も嫌うところの、逆方向の円高と株安を呼び込んだ。政府と日銀は、長期金利がマイナスになるという展開までは計算していたのだろうが、これほど日本国債にマネーが殺到するとは想定してなかったのに違いない。これまで、度重なる怒濤の金融緩和(バズーカ)によって、長期金利は低下し続けていたけれど、それがここまで爆発的な円安債券高のボラティリティを媒介することはなかったから。

イエレンは、昨日(2/11)の議会証言で、ボラティリティが増大しつつある金融市場に警鐘を鳴らしている。この警告は一般論の注意事項なのだけれど、ヘッジファンドは、とにかく短期で確実に利ざやが出る商品にマネーを移そうと焦躁するし、現時点で何がベストバイかを血眼になって探索するのが当然だ。NYSEで株を転がしていても当面は損が出る。利益にはならない。日本国債を入手すれば必ず儲かるし、入手できなくても円高トレンドが続く間はドルを円に替えておいて損はない。黒田東彦が間違ったのは、マイナス金利政策を発動させた後の、日本国債への市場ボラティリティの見極めだった。欧州諸国(スイス・スウェーデン・デンマーク)では、政策金利をマイナスに転換させても、それが予想外の通貨高を招いて混乱と自爆に陥った例はない。欧州諸国でそうならず、日本でそうなったのは、日本にアベノミクスという特殊要因があり、どれほど高騰しても国債を日銀が買い上げるという保証のメカニズムがあり、ボラティリティの異常発生に繋がったからに他ならない。通貨当局が期待せず歓迎しない、不都合な変動性エネルギーの高揚と集中。ボラティリティという耳慣れない言葉を、今回ほど説得的に感じ、状況の説明に便利で適当な概念だと思ったことはなかった。

日銀のマイナス金利が、マネーを刺激し、市場全体のボラティリティを高めたのである。円高株安の犯人は黒田東彦だ。


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