国民連合政府の戦略は、わずか4か月で破綻

メモです

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悪銭身につかず - 半年弱で破綻したパクリと誤算の「国民連合政府」
3連休の間に政治が動いた。1/11の読売の報道で、志位和夫が「国民連合政府」は現時点で困難という見方を示し、Yahooトピに見出しが掲載され、情報が瞬く間に広がった。「民主党とはまだ一致が得られていない。難しい面もあるかもしれない」と率直に語っている。1/8夜に出演したBSフジの番組でも同様の発言の場面があり、民主党との政策協議が暗礁に乗り上げている事実を認めていた。志位和夫の正直な人柄が印象づけられた映像だった。記者団を前にしてのこの発言は、事実上、「国民連合政府」の合意を民主党に求めることを取り下げるというコミットであり、その一致点を選挙協力の前提とすることを断念するという方針転換の表明に他ならない。共産党による民主党へのメッセージの発信であり、野党共闘を組む上での一致政策のバーを下げるという妥協の意思表示だ。志位和夫はそれを明言はしていないが、当然、政界情報として聞く者はそういう受け止めになる。共産党や市民連合の支持者からは歓迎の声が上がっており、この妥協によって1人区での選挙協力が進むことを期待する意見が多い。ここまで共産党が譲歩したのだから、民主党は早く野党共闘に動けと催促している。かくして、共産党の「国民連合政府」の提唱と訴求は、参院選の争点から消え、参院選までの政局論議から姿を消すこととなった。

華々しく打ち上げて僅か半年足らず、各方面から絶賛されたはずの「国民連合政府」の表象が、早々と萎れて生命力を失おうとしている。この政治の評価は、左翼リベラルの視線では、共産党が民主党に対して交渉の条件を詰めて攻勢をかけたように見えるかもしれないが、民主右派や連合の立場からすれば、我慢強く頑なに共闘を拒絶した持久戦略が奏功した勝利であり、この結果によって自信と気勢を得て、さらに共産党との連携を拒否する態度を強固にすることだろう。譲歩したのは共産党の方である。民主右派と連合の狙いは、こうして共産党にさらに譲歩をさせ、次は政策調整や政策協定の合意まで放棄させ、無条件での選挙協力という地点まで共産党を追い込むことに他ならない。つまり、早い話が、選挙協力には形だけ応じてやるから、共産党が選挙区で準備した候補は一方的に降ろしてくれという真意だ。民主党の候補、あるいは民主党の主導で纏めた無所属候補を、野党統一候補として正式に認め、共産党もその候補に黙って票を流してくれという図々しい要求である。おそらく共産党は、それを容認するか、蹴って独自候補で戦うか、二者択一を迫られる苦境に立たされるだろう。民主右派の強気の背景には、政治状況が次第に変わり、SEALDsの威光が衰退してきた現実がある。空気が変わり、力関係が変わった。

1/8、国谷裕子の番組降板が報道された。今年の3月で、古館伊知郎と岸井成格と国谷裕子の3人がテレビから消える。このことは政治の展望において決定的に重い意味がある。安倍晋三だけでなく、民主右派と連合にとって追い風の要素だろう。同じ1/8、岡田克也の会見で、3月に民主と維新の合流の政局が設定されていることが明らかにされた。何となく、計画的な気配が感じられる。岡田克也が党名変更の可能性を否定しなかったことは、従来の姿勢 - 松野維新の民主への吸収合併 - からすれば、右派への譲歩と宥和に傾いており、昨年と較べて右派の勢いが強くなった事実が窺える。9月以降、民主党の中はずっと権力闘争が続いていて、解党して右寄りの新党を結成しようとする右派と、共産党やSEALDsに引っ張られながら現在の党の体制を維持しようとする岡田執行部と、二つの間で鬩ぎ合いが激化している。3月末に修羅場が来るだろう。もし、このときに党名変更という方向に流れれば、執行部のメンバーも変わり、現在、水面下で進めている共産党との選挙協力の交渉は白紙になる。市民連合の会議に「民主党」の代表が姿を現す図はなくなるに違いない。私見では、民主党はもう末期症状を迎えていて、3月末に破局が訪れなくても、7月の選挙で議席半減になるから、そのときに分裂解党の騒動になるのは必至だ。

今回、マスコミの前で、志位和夫が正直に民主党との交渉難航を認め、その協力合意のハードルとなっている「国民連合政府」の一致を取り下げた裏は、おそらく、共産党との交渉窓口となっている長妻昭と辻元清美が、カウンターパートの小池晃に対して、「『国民連合政府』を条件から外して下さいよ。そうしないと一歩も前へ進めない」と要望を入れ、それを志位和夫が受諾したからだろう。1/9、新党大地の鈴木宗男が、4/24に予定されている北海道5区補選において、自民党の公認候補を支援する方針を表明、共産党との相乗りはできない旨を宣言した。これは晴天の霹靂で、4月の北海道5区補選を参院選勝利に向けての重要な橋頭堡と位置づけてきた市民連合・共産党にとって、痛恨の一撃だったに違いない。2013年の参院選では、大地は北海道で14%の得票率を得ている。堂々たる北海道の第三党だ。この鈴木宗男の豹変によって、俄然、補選の情勢は自民党の有利に変わった。年末の12/28、鈴木宗男は安倍晋三と接触している。私は、この鈴木宗男の裏切りは、単に大地だけでなく小沢一郎も追随する射程が潜んでいるのではないかと疑っている。鈴木宗男と小沢一郎は昵懇の関係だった。4月下旬といえば、3月の民主と維新の「合流」の政局が終わった後の時点になる。小沢一郎は、野党共闘あるいは野党再編について二股をかけている。

武田家滅亡のドラマのように、生き残りを図ろうとする弱者はどうしても二股に動かざるを得ない。10月の時点ではSEALDsの威光があまねく政界を照らし、小沢一郎も共産党に寄った立ち位置を示威して民主党の尻を叩いていたが、「国民連合政府」の看板が色褪せ、それを共産党が降ろしてしまった現在は、3月末の「合流」後の新党に居場所を見つけようというのが本音だろう。鈴木宗男の行動は小沢一郎の次を暗示する前兆だ。鈴木宗男の謀反を「合理化」するように、3連休最後の1/11、読売が世論調査を発表、安倍内閣の支持率が前回より5ポイントも上がって54%になった事実を伝えた。予想どおり、50%を超える高支持率となった。こうして見ると、共産党の「国民連合政府」の取り下げが、共産党による攻勢などではなく、形勢が不利になり、追い詰められて仕方なく放棄したものだということが分かる。SEALDs・市民連合・共産党への追い風は止まり、劣勢と退潮の局面が露わになった。SEALDs・市民連合・共産党は、次第に包囲され孤立化する道を辿っている。が、こうした進行になることは最初から分かっていた。そして、そのことを私は予想し警告していた。そもそも戦略に設計ミスがあり、採用してはいけない戦略を共産党は採用していた。SEALDsの化けの皮が剥がれ、ハリボテ細工の疑似カリスマが価値暴落し、一般への説得力を喪失することは明白だった。

「国民連合政府」は、共産党が用意周到に、強行採決のずっと前から、しばき隊学者と相談して仕組んでいた狡猾な計略だ。政党や国民の虚を衝くように、共産党は強行採決があった当日の9/19に「国民連合政府」構想を発表、それを宣伝しまくって共産党主導の「野党共闘」を作る作戦に出る。本来、こんな構想より先に、安保法の闘争が敗北に終わった総括をしなくてはならず、敗北責任を明確にしなくてはいけなかった。また、法案反対で戦った諸野党と一緒になって協議し、どうやって安保法を廃止に追い込むか方針を立案する必要があった。そのときは、民主党中心で纏まって政権打倒をめざす態勢を組まなくてはいけなかった。共産党は、あくまで反安倍・反安保の政治ブロックの左のパーツであり、戦略や態勢のセンターに座るべき存在ではなかったのだ。共産党が中心に陣取って主役たるを自己主張すると、野党のブロックが不安定になって混乱と軋轢が始まる。野党第一党はあくまで民主党であり、その民主党には左と右が角逐するお家の事情があることを、共産党としばき隊は内在的に配慮して対応するべきだった。私の見るところ、しばき隊学者は連合の体質を理解しておらず、日本の労働組合について正確で十分な知識を持っていない。労働組合運動の歴史を知らず、その方面への関心が薄い。ジェンダーだのマイノリティだの、脱構築方面の関心は高いのだが、政治を分析する上での必須の基礎知識である組合の構造と実態について知らない。

彼らの弱点であり、年齢と経験による限界というものだろう。組合を知らないと、日本の現実政治は語れない。私が、「国民連合政府」の戦略が巧く成功しないだろうと予測したのは、連合が必ず阻止と反撃に出るという確信があったからだ。連合幹部も、政経塾組も、反共一筋で人生を積み重ね、現在の地位を築き上げた者たちである。この国の政治から、共産党を叩き出して虱潰しにするべく生涯を賭けてきた猛者たちだ。共産党による、SEALDsをシンボルにした「国民連合政府」の作戦は、連合幹部を焦躁させ、彼らのカーネルである反共イデオロギーを刺激し、彼らを山岸章のチルドレンだった駆けだしの反共青年に引き戻した。今、4か月後に半ば結果が出た時点から振り返って、「国民連合政府」などやらなかった方がよかったと、そう結論せざるを得ないし、間違った戦略だったと再び強調せざるを得ない。失敗と破綻が見えていた戦略だった。お家の事情を抱えている民主党は、それを左から強引に引っ張れば、当然、右に引き戻そうと強く引っ張る力(連合)が働き、左右から両腕を引っ張り合う緊張の構図になる。内側にいる右派分子のブラウン運動が激しくなり、外へ飛び出ようとか、解党して新境地をという衝動になる。最悪の場合、お維(橋下徹)と民主党で合成する右翼新党が誕生し、参院選で憲法改正をめざすという方向になる。それは護憲派リベラルにとって最も忌まわしい展開だ。

そうした路線へ導かないために、共産党は慎重でなくてはいけなかったし、反安倍・反安保の野党ブロックを保全強化する方向で強行採決後の戦略を組まないといけなかった。ところが、共産党が「国民連合政府」で強引に主導権を握る策動に出たたため、民主党の内紛を徒に拗らせる影響を与えてしまい、そうでなくても党運営で苦労している民主党執行部を動揺させ、左右対立の調整で疲弊させ、結果的に、臨時国会を開かせて安倍政権と対決するという国民の望む図は吹っ飛んでしまった。共産党と組むのが是か非かという、イデオロギー闘争で終始する図になり、野党の中のヘゲモニー争いが延々と続いた。安倍晋三は安泰。野党に騒動させ、自らの支持率が上がるのを黙って見ていた。悪銭身につかず。人の提案を面白半分にパクって粗製した「国民連合政府」の戦略は、わずか4か月で破綻となった。

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